スーパーヴィジョン・教育分析に関心のある臨床心理士・公認心理師の皆様へ

スーパーヴィジョン・教育分析


●このページは、臨床心理士・公認心理師の方など専門職向けのページです

 


1.統合的心理療法に基づくスーパーヴィジョン

 

現場で役立つ心理臨床家になる為には、スーパーヴィジョン(以下、SVと略)が必須です。ところで、実際の臨床現場で、「一つの技法だけ」でやっている方は、ごく少数だと思います。多くの方は多かれ少なかれ、クライエントさん(以下、Clさん、と略)の状態や職場環境に応じて様々なアプローチを折衷的に取り入れているかと思います。

 

そして、そういった関与は、決して否定的な事でも、価値の低い事でもありません。とても重要なことであり、意味のあることです。だとすれば多くの心理療法家に求められるのは、様々な関与方法や技法の「質の良い統合・折衷」でしょう。

 

統合的心理療法と一言でいっても、実践のされ方は、人により異なります。どれか一つが「正解」という事もありません。ここでは、私が受けてきた教育・訓練を記しつつ、「私の・私なりの」統合的心理療法とそれに基づくSVをご説明したいと思います。

 

まず、統合的心理療法への批判として「すべての技法に深く精通してそれを自在に使いこなすなんて不可能だ‥」といったものがあります。この批判は私の統合的心理療法にはあたりません。というのは、私も、すべての技法に深く精通する‥といった事は不可能だと考えるからです。

 

一方、別の批判として「統合的心理療法って、テキトーに色々な技法を使って‥継ぎはぎ的なものでしょ‥」といった批判がありますが、これもあたりません。

 

私は医療や開業臨床がメインの人間ですが、そもそも、そんな「テキトーな面接」をしていたら状態改善は生じません。そのようなセラピーにClさんが安くはない料金を払って(特に開業臨床の場合)、何か月、場合によっては何年と継続的に来談するでしょうか。

 

私の統合的心理療法には、複数の狭義の技法を含む「様々な関与方法」をつらぬく幹、背骨のようなものがあります。私が受けてきた教育・訓練の中では、まずそれが臨床実践において、「身につけるべき基盤」とされています。それは言葉にすると、中井久夫先生の「広義の精神療法」、滝川一廣先生の「精神療法なるもの」といったものです。

 

ここではそれを、中井先生の言葉をお借りして、「広義の精神療法」と呼ぶことにします。私が受けてきた訓練では、まず「広義の精神療法」への学びを深めつつ、狭義の技法は、各々の志向性や必要性に応じて学んでいけばよい‥というものでした。どこまでできているかは別として、それが私の臨床作法の基盤になります。私はそのような「臨床の知・系譜」とでも言える訓練を受けてきました。

 

こう考えると、私の統合的心理療法は、背骨である「広義の精神療法」への理解を深めつつ、幾つかの技法を学び、それらが合わさったもの‥と言えると思います。

 

この、「広義の精神療法」を基盤とする統合的心理療法は、抽象化すれば、「どのようにClさんを理解するか」という「理解の側面」と、それに基づいて「どのように関わっていくのか」という「関与の側面」との二つに大別できると思いますが、まずは「理解の側面」を重視します。というのも、Clさんへの「理解」が的確であれば、有効な関与方法や技法、あるいは、「無理のない」関与方法が、ある程度自然に浮かび上がってくるからです。

 

次に、その「理解」に基づいておこなう「関与」には、様々なものがあります。傾聴中心ですすめる場合もあれば(来談者中心療法)、積極的な日常生活への助言・提案を行う時もあれば(認知行動療法・行動療法)、洞察的な関与をする場合もあれば(力動的精神療法)、体に働きかける場合もある(臨床動作法)。

 

技法は型通りに用いる場合も、崩して用いる場合もある。自己開示をする場合もしない場合もある。また、特に何かの「技法」とは言えないけれども、意味があると思えば、趣味の話や、雑談、世間話も、様々な形でとりいれていく。

 

上記のように、Clさんの性質や状態等への「理解」をできるだけ丁寧におこないつつ、それに応じて、必要だと思われる「関与」を、様々にしていくのが、私の統合的心理療法の特徴だと思います。

 

これまで述べてきた、中井先生の「広義の精神療法」や、その中心要素である「理解・関与の側面」は、一つの技法・理論のように厳密な体系化はなされていません。しかし、この部分への理解を深めていくと、確実に臨床の力がついてきます。

 

私のスーパーヴィジョンでは、事例を検討する中で、この「理解の側面」と「関与の側面」を、繰り返しとりあげていきます。その積み重ねの中で、体系化されていない「広義の精神療法」では、事例のどこをみるのか、何を大事にするのかが、「体でわかってくる」と思います。結果として、Clのさんの状態像や、各面接者のおかれた職場状況等に応じて、柔軟で意味のある関与をおこなう力がついていくと思います。

 

もちろん、「関与」方法の検討には、皆様の狭義の技法・理論への志向性なども伺いながら、考えていきます。というのも、どういった技法(理論)に親和性があるのか、といった事を完全に無視した臨床やSVは難しいからです。

 

私が参考にしている主な狭義の技法・理論は、力動的心理療法・来談者中心療法・フォーカシング・行動療法・認知行動療法などです。そういった中でも中心にくるのは、力動的・洞察的心理療法です。 ですので、行動療法や認知行動療法を専門的に学びたい方はニーズが異なると思います。

 

また、浦和南カウンセリングオフィス(以下、当オフィスと略)のSVにこられるヴァイジーさんには、統合・折衷系の方はもちろん、「自分のオリエンテーションがよくわからない」といった方もこられています。また、精神分析的心理療法や認知行動療法など特定の技法の訓練を受けてきたけれど、それだけでは限界がある、と感じてから来室される方もおられます。

 

このように様々な心理臨床家が来室されるのが当オフィスのSVの特徴かもしれません。ご関心のある方は、ご連絡をいただければと思います。

 

*上記以外にも、統合的心理療法の事などを、ブログなどで時折書いていますので、関心のある方は、合わせてご覧ください。代表的な記事として、下記の二つをあげておきます。

統合的カウンセリング(心理療法)とは

カウンセリングの「技法」について 

2018年1月から、約1年強にわたって、「メタ・スーパーヴィジョン」という、スーパーヴァイザーの能力向上を目的とした、トレーニング・研究に参加いたしました。詳細を、2019年の心理臨床学会で福島先生と共同発表をしました。その内容の概略をブログに書きましたので、ご関心のある方は、こちらをご覧ください。

2.スーパーヴィジョンの料金・システム・対象・お申し込み

 

■料金

当オフィスのSVは1,2がございます。原則的には1となります。ヴァイジーさんのニーズに応えるには90分SVが必要で、かつスケジュール的に可能な場合に90分SVをおこないます。 

  1. :50分10000円
  2. :90分16000円

 

■システム

 

●対面SVとオンラインSVがあります。

 

ここ数年は、最初の1,2回を対面でおこない、それ以降をオンラインにする方が増えています。

 

これは感染防止や通うことに関する労力の軽減、といった物理的なメリットだけではなく、オンラインだと画面共有など様々な機能が使えたり、そもそも「メモをとりながら考える」といった作業をするときは、使い慣れた「机や椅子」がある方が取り組みやすい印象があります(当オフィスはソファに座っていただくことになるので、ここに多少の難点があります)。

 

これらは多くのヴァイジーさんと共有していることですが、もちろんこのあたりは適宜ご要望を聞きながらすすめていきます。

 

●定期的SVとオンデマンド的SVがあります。

 

定期的SV:SV経験が5年未満の方の場合、原則月2回以上の定期的なSVでお引き受け致します。ただし当オフィスのSVが、「合うか合わないか」という問題がありますので、最初に1,2回受けてから継続的に受けるかをご判断いただければと思います。

 

臨床経験が10年以上、SV歴が2年以上ある方の場合は、オンデマンド的SVも可能です。

 

■対象

  • 医療  開業、学生相談の現場で16歳以上のクライエントさんに携わっている方を優先させていただきます。それ以外の方は応相談となりますので、ご連絡下さい。
  • 若手臨床家の教育・訓練をSVの中核におきたいので、お引き受けするのは原則として45歳までの方とさせていただきます。ただし、臨床経験が10年以上、SV経験が2年以上ある方は、上記年齢以上でも可能な場合がございます。関心のある方はお問い合わせください。

 

■お申し込み

カウンセリング・スーパーヴィジョン・教育分析の新規受付について」をお読みいただき、「お申し込み・お問い合わせ」ページから、お申込み下さい。

埼玉県にある別所沼公園の写真
別所沼公園

3.統合的心理療法に基づく教育分析

 

当オフィスでは、臨床心理士・公認心理師といった、心理職の方への教育分析をご提供しています。開業後、徐々に、当オフィスでご自身のための心理療法・カウンセリング・セラピーを希望する方が増えてきました。また、「自分のセラピーをしてもらえますか」といった、お問い合わせも増えてきました。

 

そういった流れ・背景もあったので、心理職の方への心理療法・カウンセリングを、正式に「教育分析」として掲げることにいたしました。ただ、一口に「教育分析」といっても、その意味するところや内容は実に様々です。

 

ですので、当オフィスでご提供できる教育分析とは、具体的にどういったものなのか、といったことを下記に記しましたので、ご関心のある方はご覧ください。

 

なお、ここでは、心理療法・カウンセリング・セラピーといった言葉を用いて書いていきますが、基本的にすべて同義と理解していただいてけっこうです。 

 

当オフィスの教育分析

 

すでに当オフィスには、一定数の臨床心理士・公認心理師の方が、ご自身のために心理療法・セラピーを受けにこられています。

 

目的や内容は様々です。ご自身が抱えているやしんどさ、生きづらさを、ある程度具体的に扱うものから、生育歴や家族歴を振り返りつつ自分のこと・内面をみつめなおしたり、自己理解を深めていったり。あるいは、それらを踏まえつつ、これからどう生きていくのか、今後どういうふうに臨床家として仕事をしていきたいのか‥といったことを考えたり。

 

このあたりは、受ける年齢によっても変わってくるかもしれません。

20代、30代、40代‥と年齢によっても、受ける目的は変わってくるでしょう。

 

ここで少し、私が受けた教育分析の体験に触れたいと思います。私が教育分析を受け始めたのは、ちょうど40歳過ぎからで、言葉にできる理由と、自分でもよくわからない、半ば突き動かされるものとが合わさった感じで受け始めました。方法は、分析心理学的夢分析です。ユング派の夢分析をベースにしたものですね。

 

受け始めた理由の、言葉にできる方の理由を、当時、あるいは今から考えると、ちょうど40歳を過ぎて、「今後自分はどう生きていきたいのか、どのように仕事をしていきたいのか」、といったことを、これまでの生きてきた歴史を振り返りながらみつめていきたかったのだと思います。また、それらを通して新たな自己理解が生じることを期待していたのだと思います。

 

もちろん、教育分析の中では、日々の具体的なしんどさや、生きづらさの問題に、どう対処していくのか、といった「現実的なこと」もたくさん考えていきました。また、自身が抱えてきた心の傷のようなものにふれたり、ある種の直面化的なこともしていったので、多少なりともしんどさを感じることもありました。

 

色々なことがありましたが、総じて受けてよかったと思っています。「無意識に触れていくような作業」と「現実的なこと」の両方を大事にしていく教育分析でした。

 

さて、当オフィスで提供する、心理職の方への心理療法は、私のオリエンテーションである、統合的心理療法がベースになります。もちろん、私自身の教育分析体験も、そこに生かせればと考えています。というより、現実的には自分の教育分析体験が、様々な形で、心理職の方へのセラピーに影響を与えていくだろうと思います。

 

具体的な内容・目的、方法などはそのつど受ける方と話し合いつつ、といった形になります。ただ、頻度に関しては、最初の頃は、少なくとも月2回ぐらいは来ていただく必要があるかと思います。また、通常の心理療法同様、私が提供できるものと、来談される方のニーズ・希望が大きく異なっている場合は、その旨をお伝えさせていただくこともあるかと思います。

 

もちろん、スーパーヴィジョンと同じように、あるいはひょっとするとスーパーヴィジョン以上に、「セラピストとの相性の問題」があるかもしれません。ですので、1,2回受けてみて、その後に継続的に来室されるかどうかを考えてみる、というのも良いと思います。

 

最後になりますが、ちょっと迷ったことがありました。それは、心理職の方を対象にした心理療法を正式に標榜するにあたり、どういう「名称」にするか、についてです。ざっと「教育分析・個人分析・訓練分析・教育的カウンセリング」といった言葉が浮かびましたが、このあたりの用語の定義は、流派によっても人によっても微妙に、あるいはかなり違うんですよね。

 

で、特に明確な理由はないのですが、ひとまず当オフィスでは「教育分析」と形容することにしました。ですが、これはあくまで「名称」であって、当オフィスで用いる教育分析の定義は、「臨床家が、その時々で、各々の必要性・目的にそって受ける心理療法」です。平たく言えば、通常のセラピー・カウンセリングと一緒です。

  

「~分析」という言葉は、例えば精神分析療法に代表されるような、週に複数回のセッションをしながら、「無意識にわけいっていく」といったイメージを連想させますが、当オフィスの教育分析は、それとはちょっと違うということですね。もちろん、やり取りの中で、無意識に触れていく、といった方向のセラピーをしていくことが共有されれば、私なりにそういった方向の関与をしていきます。

 

なお、私が実践している統合的心理療法や、どのような訓練を受けてきたかは、「ホーム」「カウンセラー・顧問」などにも、様々に記載してありますので、ご関心のある方はご覧ください。 

  

当オフィスの教育分析が心理職の方にお役に立てれば幸いです。 

4.教育分析の料金・お申し込み

 

■料金

●50分1万円

 

■お申し込み

カウンセリング・スーパーヴィジョン・教育分析の新規受付について」をお読みいただき、「お申し込み・お問い合わせ」ページから、お申込み下さい。