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イチロー選手の言葉から想うこと

少し前に、イチロー選手が引退しました。

平成が終わって令和になったわけですが、まさに平成を代表するスター選手でしたね。

 

ものすごく熱烈な、というわけではないのですが、個人的に、イチロー選手のファンだったので、イチロー選手が、様々なインタビューや雑誌などで、どんなことを言うんだろうか‥という事に興味がありました。私にとって、色々と考えさせられる発言がたくさんあるのですが、今回はその中でも記憶に残っているものを、少数ですが書いてみたいと思います。

 

すべて、私の中の「記憶」ですので、正確ではない事及び大意になる事を、お断りしておきます。

 

1:たしか、イチロー選手が、日米通算4000本安打を達成した時のインタビューの時に、「4000本を打ったという事は、僕の場合8000回ぐらいの、悔しい思いをしてきたわけで。その事実に向き合ってきた、という事はあると思います」といった事を仰っていました。

 

これは、凄いな~、と思いましたね。私自身、「向き合わないとな~」と思いつつ「向き合わずにいること」って、やはりあるわけです。もちろん私は、状況によっては、「向き合わないでいること」も、心身の安定に大事だと考えています。

 

特に、カウンセリングでは、そこの判断は慎重になります。

 

一方で、「少々しんどいのだけど、向き合わないと先にすすめない局面」、というものが、人生の中で、あるいは、カウンセリングでも、生じることがあります。

 

もちろん、繰り返しになりますが、カウンセリングの場合は、そのあたりの判断はデリケートに行う必要がありますし、「向き合う」にしても、その進め方は、クライエントさんの状況によって異なってきます。

 

この言葉は、どちらかというと、わたくし個人にとって、心に響く言葉でした。

 

2:たしか、現「侍ジャパン」の稲葉監督との対談の時だったでしょうか。稲葉さんが「大リーガーの選手はとにかく体を大きくしてパワーをつけて‥というのが最優先みたいになっていると思うけど、その風潮についてどう思うか」を聞いたんですよね。そしたら、イチローさんが即座に「それはまずいですよね」といった趣旨のご発言をされていたように記憶しています。

 

イチローさん曰く、「もともともっている、その人の体のバランスを崩したらいい結果はでない。たとえば、筋肉がついて体が大きくなっても、それを支える関節や腱は同じようには鍛えられない。そしたら、腰やひざに負担がきて怪我もしうる。」また、イチローさんは、「筋肉がつき過ぎたら、スイングスピードが遅くなって結果がでなくなった。逆に痩せてきたら、スイングスピードが速くなって、結果がでてきた」といった事を仰っていました。

 

イチローさんも、数年間は、「ウエイトをやって筋肉をつけて身体を大きくして‥」という「今の風潮」通りにやっていたそうです。けど、どうしても結果がでない。そこから、1の話のように、自分自身を振り返り、向き合っていく中で、上記の結論に至ったそうです。そして、同時に、そういう遠回りをしたからこそ、イチローさんは、自分なりの正解を見つけることができたとも仰っていました。だから、「無駄も無駄ではなかった」とも。

 

この、2、の話も凄く印象に残りました。この言葉は、どちらかというと、わたくし個人、というより、カウンセリングという、自分の職業にひきつけて色々なことを考えさせられました。やはり、「その人その人」にとって、生きていくのに必要なバランスって、違うと思うんですよね。「向き不向き」などもあるでしょうし。

 

クライエントさんにどういうカウンセリングのアプローチがいいか‥それも、クライエントさんによって、変わってくるわけですし。

 

なので、クライエントさんが、ある局面で、「自分は~する方が良いと思っている」という時、私の中で、“~の方があっているのでは‥”と判断する時は、そのようにお伝えする事もあります。

 

また私自身、今でも自分がどう生きていったらいいのか、心身のバランス、仕事とプライベートのバランスなど、どこか常に模索している感じがあります。そして、それらのバランスは、自分の年齢やおかれている状況によっても変わってくるわけですよね。

 

そんなふうに、「一般的な通説」、的なものを過剰に信用し過ぎない構え、自分にあったものを、試行錯誤しながら見出していくことって、本当に大事なんだな〜と思いました。これは、カウンセリングも同様だと思います。

     

これらは、イチロー選手の言葉から「私」が、自分なりに考えたり連想したことですが、同じ言葉から違った連想を浮かべる方もいるでしょう。そして、それはそれで良いと思うのです。

 

大事なのは、各々の立場で、そのような言葉から、その方にとって、大事ななにかや、ヒントがみつかればいいわけですから。

 

まだまだ、色々あるのですが、きりがないので、ひとまず今回はこのあたりにしたいと思います。