「肯定されること」の重要性

カウンセラーにも色々な方がいますが、私はカウンセリングの中で、クライエントさんを、やや硬い言葉でいうと、①「肯定する・称賛する・承認する・認める」とでも形容できそうなことを、わりと言う方だと思います。「素晴らしいですね」「すごいですね」「画期的ですね」などなど。

 

これは、当カウンセリングオフィスで実践するカウンセリングの特徴の一つといってよいと思います。

 

これらの言葉は、日常的には相手を「ほめる」という用語に、括られると思います。ただ、日常用語のほめる‥という言葉は、どうしても上から目線というか、そういったニュアンスがぬぐい切れない印象があります。

 

私がこの記事のタイトルで使うことにした、「肯定」という言葉は、私がカウンセリングで使う一つの「方法」で、それをしていくことが、クライエントさんの心の悩みや問題の解決に繋がりうる、という見通しのもとにおこなっているものです。ですから、世間一般で言う、ほめる、という言葉とはちょっと違うので、「肯定」という言葉を用いる事にしました。

 

カウンセリングの中で、「肯定」ということについて、色々と考えるようになったのは、私からみて、お世辞抜きに、本当によくやられているのに(例:仕事、育児、家事、あるいは、相当なご苦労がありながらもここまで歩んでこられた歴史そのものの)、すごく「自己肯定感」や「自己評価」が低い方と出会うことが多いからだと思います。

 

そういったクライエントさんとお会いし、様々なお話を伺っていて私なりに気づいていったことがあります。それは、そういった方に多く共通するのは、子供のころから、親を中心とした周囲の大人達から、「肯定されるべきことを、肯定されるべき時期に、肯定されてきていない」、総じて「肯定される」という体験の積み重ねが薄い、というものです。

 

もちろん、親や周囲の方々には、それなりの事情もあるのでしょうが、今回は、そこにはふれません。

 

自己肯定感や自己評価の詳細な定義は割愛しますが、自分への肯定感がある程度育っていることは、その人の人生や心を支える、一つの大事な要素になります。ですが、それらは、子供の頃から、その方にとって重要な他者(両親や教師など)に、肯定される、という体験の積み重ねによって、育っていきます。自分一人で育てよう、と思ってもなかなか難しいものです。

 

そのような方とのカウンセリングを通して、あるいは、肯定される体験の積み重ねの薄さから、自己肯定感が薄い方に、しっかりとカウンセラーが、肯定していくことは大事で、その積み重ねには意味がある。そして、自己肯定感の回復に繋がっていく、という経験をしてきました。

 

もちろん、心の悩みの回復・改善の道は、単純なものではありません。肯定という行為によって、逆にクライエントさんに違和感が生じる場合もあります。そういう場合は、それらをカウンセリングでとりあげていきますし、「自己肯定感」の再構築には、別のアプローチが必要な場合もあります。

 

とはいえ、総じて、クライエントさんに、私からみて「肯定すべきものを、肯定すべき時期に、しっかりと肯定していく」という行為の積み重ねは、心の悩みの緩和・解決に有効だ‥という感触をもっています。今後もそういった関わりは、私のカウンセリング方法の、大切になものの一つであり続けると思います。

 

当カウンセリングオフィスでおこなうカウンセリング内容の、説明、参考になれば幸いです。